相続で損したリアルな話

相続登記は義務

先日、とあるプロジェクトで相続問題に直面しました。

私が不動産コンサルタントとしてお手伝いしている案件で、地権者の方にむけた説明会を実施しました。

複数名の地権者がそれぞれ所有する田畑、山林を購入させていただき、その土地を開発し一帯の産業団地とする計画です。

現在、農業や林業を行っておられる地権者であれば、その土地を売るとなれば死活問題となりますが、基本的には手付かずの土地ばかりで、草刈り等の管理コスト・相続等を鑑みると売った方が、得策ですし、何より、そのままだとほとんど価値がない土地を、ある一定の金額で買い取るため、地権者にとっては良い話でしかありません。

また、産業団地ができれば、雇用が生まれ、税収が増えることで「給食費の無償化」や「幹線道路の整備」等の恩恵も間接的に享受できます。

通常不動産デベロッパーが、このような開発を行う際には、まずは地権者説明会を行い地権者の合意を得ることから始めますが、ここでよく問題になるのが「相続問題」です。

不動産デベロッパーは登記簿上の名義人である地権者本人としか売買契約ができません。登記簿上、地権者が複数人いる場合も同様です。

ただ、相続が発生しても相続登記を行っておらず、また、その状況を放置していたために、所謂、2次相続が発生し、権利者が無数に増え、収集がつかなくなっているケースがあります。現状で相続登記できていなくても、相続人全員で話し合い、財産を整理し、相続登記を行うことができれば、まだ良いですが、お金の問題で仲違いしていたりすると最悪です。(なお、法改正により2024年4月1日から相続登記は義務化されました

今回も、地権者の中で、相続が発生しているものの、相続登記ができていない方が数名おられ、中には10数名の相続人がいるが、お金のことでもめて収拾がつかなくなっている方が一名いらっしゃいました。

そうなると、相続登記が完了するまで、不動産デベロッパーサイドとしては契約ができないということになります。

せっかく、不要な土地を売却できるチャンスが水の泡になってしまうのです。

相続対策は前もって

相続の対象は、現預金・生命保険・不動産・有価証券等々です。

被相続人の財産分与を、生前から話をすることについて、「死ぬ前からそんな話をして」や「お金目的か?」といった風に、いやらしい話として、抵抗を示す方が少なからずいらっしゃいます。

しかし、被相続人が御存命の間に、しっかりとした相続対策を行わないと、前述のような、売れない土地を抱えてしまう事態に陥いる可能性があります。また、被相続人の想いと違う形で相続されてしまう可能性もあります。

相続財産のうち、土地・建物等の不動産は約4割と言われ、大きなウェイトを占めます。

資産形成の仕方によっては、節税対策として使える不動産ですが、「すぐ現金化できない」「価値の変動がある」「素人には扱いづらい」等の難点も持ち合わせています。

特に、複数の不動産を所有されている方や、被相続人が御存命の間に、何らかの対策を講じましょう。

相続はその目的に応じて様々な対策が存在しますが、判断に迷われるようでしたら、我々のような専門家を是非頼ってください。

まずは気軽にご相談を。

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